あらゆる面で強欲だが、なんとも味わいのある太っちょ、フォールスタッフ。女性に対しても欲深だ。フォード夫人とページ夫人に惚れられていると勘ちがいしている。両夫人へ、ラブレターを出す。全く同じ文章で・・・。両夫人たちは、結託してこの太った色欲男に一杯くわせてやろうと企む。

偽りの約束を信じこんでしまうフォールスタッフ、夫人の家へ行こうと企んでいる。その企みを二人の主人は知ることになる。主人フォードの方は妻を疑う。そして、変装し、鎌かけて、フォールスタッフに妻を口説くようにと告げる。そんなこととはつゆ知らず、喜び勇んでフォード夫人を訪ねたフォールスタッフは、主人の奇襲から逃れるのに、洗濯籠に押しんでもらい逃げ出すも、テムズ川に放り込まれる。それでも、この強欲男は懲りることがない。また両夫人のもとへ会いに行く。フォードが怒り狂って戻ってくる中、「洗濯籠はもう御免だ」と訴えるフォールスタッフ。からかってやると企む女性の心もなんとも味わい深く尽きるところがない。この男の果てしない情欲にも勝るとも劣らない知恵で応戦する。夫フォードが嫌いな老婆の格好を敢えてさせて、ひどい目に合わせる。

妻を疑っていたフォードは夫人から策略を聞かされ、詫びる。こうして絆をさらに深くした夫婦は、ページ夫妻と力を合わせて、強欲なふとっちょを懲らしめることにさらに燃えることとなる。

“ウィンザーの森、夜十二時、森番ハーンの姿できてください”と手紙を受け取ったフォールスタッフは、そのわなであるとは全く気づかない。言われた通りの、頭に角をはやしたハーンのいでたちで、森に出かけていく。すると、森の妖精たち(ウィンザーの子どもたちが変装している)につねられたりのお仕置き・・・痛い目に。

この策略の大騒ぎのなかから、どさくさに紛れ、これまで叶わなかった二人の男女の愛が幸せに結ばれることになる。父親ページの意向で好きでもない男のもとに嫁にいかなくてはならないことになっていた娘アン・ページと好青年フェントン。両親の許しと祝福を受け、喜びのうちに・・・。結局のところこのカップルを結びつけることに一役かった(?)太っちょも、皆の祝宴に招かれることになる・・・なんとも言えない喜びのうちに幕。