大ポンペーを倒しローマ凱旋のジュリアス・シーザー、その英雄をローマの人々は喜び迎えている。占い師が突然、シーザーに鋭く予言を放つ…「用心なさい、3月15日に。」と。たしかに正にいま、キャシアスが、シーザーの独裁、野心を制するため秘密裡にシーザー暗殺を企んでいる。そしてキャシアス自身の義兄であり、シーザーの寵臣でもある有力者ブルータスを味方につけようと必死になって説得していところであった。
3月15日当日未明まで、シーザーへの恩義とキャシアスらの計画に揺れ動いていたブルータスであったが、シーザーが王位についたときの危険を考え、キャシアスの計画に加担することを決意する。ブルータスとそしてキャシアスら陰謀者たちは結束して計画を実行するためにキャピトル(議事堂)へと向かう。
そのころまだシーザーは邸にいた。悪夢を見た妻キャルパーニアや神官の説得で、シーザーはキャピトルへ出かけることをとりやめる。調度そこにやってきた陰謀者の仲間の一人ディーシャスは巧みな弁舌でシーザーのその意志を引っくり返す。結局、シーザーはキャピトルに出かけていく。キャピトルに着いて間もなくのこと、シーザーは陰謀者たちに次々に刺される。最後はブルータスの刃を身に受け、「おまえもか、ブルータス!死ぬほかないぞ、シーザー!」と息絶える。ブルータスの言により暗殺者たちは両手をシーザーの血にひたす。
ローマ市民たちはこの大事件に混乱をきたす。その市民たちに向かってブルータスは、シーザーを愛しながらも殺さないではいられなかったそのわけを説いて聞かせる。シーザーの野心の下でローマ市民がその奴隷となってしまうことを思ってのためだと。市民たちはブルータスのことばに歓喜し賛同する。そこへマーク・アントニーが登場する、シーザーの遺骸とともに。「万歳を叫んでブルータスを家まで送ろう。」と言う市民たちに、ブルータスは、この場に残りアントニーの話を聞くようにと伝え、その場をあとに一人帰っていく。ブルータスとの約束どおり演説の機会を得たアントニーは「ブルータスは公明正大な人物だ」と繰り返しつつも、シーザーは野心など持っていなかったこと強調し、市民たちの心に巧みに訴えかける。さらにシーザーがどれほどローマ市民を愛していたかを伝え、つい先ほどまでの市民たちのブルータス支持を一転、引っくり返す。そして彼らはアントニーの弁舌に煽られて暴徒化していく…。そしてブルータスとキャシアスたちはローマ脱出を余儀なくされる。
アントニーがオクテーヴィアス・シーザーと組んでフィリパイに進軍していると知ったブルータスはキャシアスとともにこれを迎え撃つことに。ある夜、ブルータスのテントにシーザーの亡霊が現われ、フィリパイで会うだろうと伝えて消えていく。その朝早くブルータスたちは進軍し、フィリパイの平原でアントニー軍と激突する。はじめキャシアスは優勢になるが、結局はアントニーに大敗する。キャシアスは自分の胸を召使のピンダラスに刺させて果てる。ブルータスもまた、召使いストレートーの手に持たせた剣の切っ先に走り寄って身を投げ自害して果てる。そこに登場したアントニーとオクテーヴィアス・シーザーは勝利の栄光をわかち合いながらも、心からブルータスを追悼の意を表して幕となる。