ローマの三執政官、マーク・アントニー、オクテーヴィアス・シーザー、イーミリアス・レピダス。アントニーは今やエジプトのアレグザンドリアに居座り女王クレオパトラとの愛に生きている。ローマからの使者にも会おうとしない。周りはなかばあきれている。そこに、妻ファルヴィアがシーザーとの戦で敗れたあとに病死したとの報せが入る。またポンペーのローマに対しての反乱も起こり、アントニーはクレオパトラをおいてローマへ帰国。

ローマで三執政官と側近たちがポンペーの反乱の対策を練る。もともと相容れないアントニーとシーザーの二人はローマのためにも絆を修復しようと努める。そこでシーザーの姉オクテーヴィアとアントニーの結婚の話が持ち上がり、すぐさま現実のものとなる。これをエジプトのクレオパトラが知って激怒。

ローマの三執政官と側近たちはポンペーとの和平交渉に入る。交渉は順調に進み、盛大な酒宴が催される。しかしその後、シーザーはレピダスと組み、ポンペーとの戦いに突入、ポンペーを打ち破る。この勝利で勢い増し、全世界を手中に治めんと虎視眈々とねらうシーザーはレピダスを監禁する。シーザーの動きに激昂したアントニーはシーザーを弾劾する。両執政官の亀裂は以前にも増して大きくなる。弟シーザーと夫アントニーのあいだで揺れ動く姉オクテイヴィアはローマの弟、シーザーのもとにやってくるが、シーザーはアントニーの非を巧みに説き、姉を慰める。一方のアントニーはエジプトのクレオパトラのところへ戻っていた。

いよいよシーザー軍が進撃を開始する。アントニーはシーザーに伝統的な一騎打ちの挑戦状をたたきつけるが、シーザーはこれを拒否、海戦を望む。やむなくそれを迎え撃つことになったアントニーとクレオパトラは、明らかに不利な海の戦いに臨む。海戦が始まり、両者五分五分に見えたが、クレオパトラの乗る船は敵前逃亡…アントニーの船もそのクレオパトラを追いかけて、味方を置き去りにし、この海戦はシーザーの圧勝となる。

アントニーはこの敗戦後、クレオパトラのシーザーに媚びる態度に憤りを感じるも、腹心の部下イノバーバスはじめ自分のもとを去ってシーザーに寝返っていく者たちの報せを受けては自分自身を責め、去りゆく者たちには寛大な心を示す。こうしたことでさらに心大きくなるアントニーは、いよいよ最後の決戦にすべてをかける。アントニー軍は善戦し、シーザー軍をアレキグザンドリアから撃退。しかし翌日の海戦ではまたもやクレオパトラの以前と同じ敵前逃亡により、アントニーの軍は完敗する。アントニーはクレオパトラにあらん限りの悪態を浴びせかける。アントニーの愛をとりもどすべくクレオパトラは宮殿の廟にこもり、自分が自害したとの知らせをアントニーに伝えさせる。この知らせを信じたアントニーは自殺におよぶが、どうしても死にきれない。そこに、クレオパトラが虫の知らせで不安になって送ってよこした使者が到着、事の真相をアントニーに語る。アントニーは従者を呼び、急ぎクレオパトラのいる霊廟に運ぶよう最後の命令をする。アントニーとクレオパトラは愛の再会を果たすが、アントニーはクレオパトラに抱かれながら息絶える。アントニーの死を受けたシーザーや側近たちは皆ショックを受ける。シーザーはクレオパトラの身に何事か起こらんものと心配し、寛大な心を示すが、もはやこれまでと覚り、アントニーとの愛が最後の愛と感じるクレオパトラは正装し、胸を毒蛇にかませてアントニーのあとを追う。かけつけたシーザーはアントニーのそばにクレオパトラを葬るよう命じ、二人の悲しい物語は自分の栄光とともに永く人々に語られるだろうと死を悼み、最大の礼を示し、幕となる。