夏の夜の夢  シェイクスピア全集 〔12〕 白水Uブックスアテネ公爵シーシュースとヒポリタの結婚間近、訴訟問題が。イージーアスが、娘のハーミアを告訴するという。
自分の選んだ相手ディミートリアスとの結婚を拒み、恋人ライサンダーと結ばれることを望んでいると。ディミートリアスは、実はヘレナの恋をすでに勝ち得ていたにも関わらず、ハーミアに言い寄っている。ヘレナはディミートリアスにまだ夢中の状態。
このアテネでは、父親のすすめる相手以外の結婚は許されない。シーシュースはハーミアを説得するが、ハーミアの意志は固く、ライサンダーと駆け落ちすることに。そこへ片思いのヘレナが現れる。二人は駆け落ちの計画をヘレナに告白。ヘレナからこのことを聞いたディミートリアスは、二人を追ってアテネの森へ。そのアテネの森では、職人たちが、シーシュース公の結婚式の祝典劇として、芝居を作ろうと盛り上がっている。アテネの森には、妖精が住んでいる。妖精の王オーベロンとその妻タイテーニア。だが大喧嘩中。王は、タイテーニアのお気に入りのお小姓をほしがっている。王はタイテーニアに、目覚て最初に見るものに恋をする“恋の三色スミレ”を塗って、他に目を移す間に、小姓を自分のものにしようと企んでいる。
そこへ、ディミートリアスと彼に冷たくされるヘレナが登場。これを見たオーベロンはヘレナに同情する。そして妖精パックに、ディミートリアスの目に惚れ薬を塗り、目覚てすぐヘレナを見るようにしておくことを命じる。ところが、おっちょこちょいのパックは、森で寝ていたハーミアとライサンダーを見て、このライサンダーを命令された男と思い込んで、彼の目に惚れ薬を塗ってしまう。ヘレナが、そこにひとりで登場。目覚めたライサンダーは、ヘレナを最初に見て、惚れこんでしまう。オーベロンはこれを正すべく、ディミートリアスに惚れ薬を塗り、パックにヘレナを連れてくるようにと命じる。ところが、そこにヘレナだけでなく、彼女を追ってきたライサンダーまで一緒に現れてしまう。ディミートリアスは目を覚まし、ヘレナに恋をする。二人の男が、今度は、ハーミアではなく、ヘレナを激しく取り合うことになる。そこに、ライサンダーを見失って、彼を探しまわっていたハーミアが、来合わせ、恋人4人の心が大混乱。オーベロンは、4人の愛を修復させるべく、ライサンダーの目に、惚れ薬の効果を解くダイアナの花の汁を塗るよう命じる。今度は、パックも無事に任務を果たす。
一方、森の別の場所では、夫に惚れ薬を塗られたタイテーニアは、パックのいたずらによってロバ頭に変えられた職人ボトムに夢中になっていた。これを見たオーベロンは、妻を哀れに、愛おしく思い、ダイアナの花で魔法を解いてやり、夫婦は仲直り。同時に、4人の恋人の愛も、修復。そこへ、調度、シーシュースとヒポリタが現れ、3組が晴れて結ばれることになる。ロバ頭に変えられていた職人ボトムも、元の姿に戻り、職人仲間たちのもとへ帰っていく。心配していた仲間たちは、ボトムと再会、大喜び。芝居の熱が、いよいよ最高潮に!
3組の恋人たちの婚儀の夜、職人たちの芝居が上演され盛り上がり、職人たちも舞台から去り、恋人も、新床へ。皆寝静まるころ、妖精たちが現れ、祝福のうちに幕。