楽しく 深く 豊かに
主宰 平澤智之

現在、多くの社会人の方々が平澤演劇アカデミーに集い、シェイクスピアを様々な角度から楽しんでいらっしゃいます。シェイクスピア朗読劇を創る二つのクラス、朗読そのものを全員で楽しむ二つのクラス、上演を研究するクラス等があります。そのすべてに共通していることは、心を静め、体をリラックスさせて深い息から全身全霊でシェイクスピアの豊かなことばを実際に声に出して読むこと、そして他者のことばを聴いていくことです。人生の豊かさを幾重にも再体験する「大人の本質的な遊びの場」として、受講生全員が一つ一つ大切に楽しく、取り組んでいます。受講生の皆さんが回を重ねるごとに益々楽しく美しく輝いているのがとても印象的で、生きることの素晴しさとともにシェイクスピアの本質的なエネルギーと大きな可能性を実感しています。また、小田島訳シェイクスピアとの出会いで私自身、学生時代に直観的に感じながらも、ずっと求めてきたシェイクスピアの本来の楽しみを日増しに皆さんと深く共有していかれることに毎日生きる喜びをかみしめております。これからさらにこの日本においてシェイクスピアが日常的に広く読まれようになっていくことを願い、皆様とともに活動して参ります。

 

ディレクター 服部陽子

「平澤智之のシェイクスピアの世界」を、アカデミーに関わる多くの皆様とご一緒に分かち合い、広げていくお手伝いができたらと考えております。シェイクスピアは書物の中に留まっているのではなく、没後400年が過ぎようとしている今の時代にあっても、私たちの人生そのものです。それぞれに多忙な生活を送ることを余儀なくされ、スピーディで潤いのない日常になりがちな私たち現代人ですが、日々の歩みを少し遅らせてみるだけで忘れていた何かを取り戻したり、今まで見えていなかったものが見えてきたりするような気がします。シェイクスピアの作品に触れ、その人物たちに出会うことで、時には勇気づけられ、時には癒され、時には生きるヒントを与えられる――アカデミーでの様々な活動が会員の皆様の「心のサプリメント」となればと願っております。