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ヘンリー四世はリチャード二世から王位を奪取し、その償いと懺悔の心から十字軍を結成してエルサレムの地を目指そうとしていた。だがそれもつかの間、急遽、その遠
征計画もやむなく延期せざるを得なくなる。ウェールズにイングランド軍が大敗したとの報せが届き、さらには対スコットランドの戦いに勝利したヘンリー・パー
シー(ホットスパー)がその人質引き渡しを拒んで怪しい動きを見せているからである。またホットスパーだけでなく、その一族、父ノーサンバランド伯ヘンリー・パー
シー、叔父ウスターはヘンリー四世に反旗を翻す計画を進めている。パーシー一族とヘンリー四世とは王位を奪うまでは強固であったその関係も今や崩れかけ、一触即
発の状態となっている。

ヘンリー四世にとって王子ハルのことも大きな心配の種である。ハルは居酒屋に出入りし、フォールスタッフを筆頭とした悪友たちと付き合い、昼も夜もなくしょっちゅ
う城を抜け出しては遊び歩いているからである。彼らは旅人から金品を奪おうと計画し、ハルはポインズとともにその計画にのらず逆に欺いて身を隠し、フォールスタッ
フ達だけでその計画が実行されるや、変装しフォールスタッフらに奇襲をかけてその金品をあっさりまきあげ確保するという悪戯を生き生きとやってのける。そしてそ
の奇襲に恐れて一瞬のうちに金品をおっぱらかして逃げ出したのもなんのその、居酒屋にきてはフォールフスタッフは手柄話を堂々とハルや周りのものたちに披露してい
る。ハルに事の真相を伝えられても、フォールスタッフは無理矢理、理屈をつけてスルッと言いのがれをしてみせる。そんななかに夜が明けたら宮廷に戻るようにとの父
王ヘンリー四世の命令が伝えられる。いよいよ反乱軍との戦いの火ぶたが切って落とされようとしているのだ。父王のもとにもどったハルは王の嘆きをきくことにな
る。勇猛果敢、王子と同年代でありながら武士の鑑ともいうべきホットスパーと比べて、王子はまるで正反対、遊んでばかりいて将来が思いやられるということ
だ。王の悲観を受けたハル王子は必ずや戦場でホットスパーを撃ち、汚名返上してみせると父王に誓う。反乱軍が動きを見せ、王とハルは出陣する。いよいよシュールズ
ベリーの戦いが始まる。ハルは傷を負いながらも果敢に戦いに向かっていく。そして父王を危機一髪のところで救い出し、正に英雄の姿を輝かせる。そしてホットスパー
との一騎打ち。ハルはこの強敵を見事に撃ち倒す。一方、歩兵隊長に任命され戦場に来ていたフォールスタッフのほうは死んだふりなどの戦法を駆使して戦場を行った
り来たりしている。そしてホットスパーの死体を見つけては自分の手柄だとうそぶいたりなどする。シュールズベリーの戦いは王子ハルの大活躍でヘンリー四世の勝利と
なる。王はウスター伯に死刑宣告を申し渡し、新たな戦いへと向かう。