『リチャード二世』

イングランド王、リチャード二世の御前、ボリングブルックとモーブレーがお互いの
罪を告発し合っている。王の認めるところ、決闘により決着をつけることになった。
決闘当日、いざ、二人が激突しようとした瞬間、王は両者を制し、二人を追放に処
す。一方、王はアイルランドの反乱の問題をかかえていた。痩せ細る国庫のなか、ボ
リングブルックの父、ゴーントが病没するや、その財産を没収し、戦費にあて出陣す
る。

これに怒り、追放された地で力を蓄えていたボリングブルックは兵を挙げイングラン
ドの地に舞い戻る。勢いを増していくボリングブルックは王の有力な家来、ブッシ
―、グリーンを捕え、処刑する。また、摂政を務めていたヨークを味方につける。さ
らに、ボリングブルックの反乱を知りブリストル城に戻っていた王に攻め寄せ、財産
相続の権利と王権を要求する。王はやむなくこの要求を呑む。ウエストミンスター大
会堂で、リチャードはボリングブルックに王権を譲り、錯乱するなかリチャードはロ
ンドン塔へ移送されていく。その途上、リチャードは王妃と出会い、最後の別れを告
げる。リチャードは幽閉される地へ、王妃は遠く離れた地、フランスへ。王となった
ボリングブルックの心は変わり、リチャードはポンフレット城に幽閉されることにな
る。その地で、リチャードは新王ボリングブルックの家来エクストンらに襲われる。
ボリングブルックのことばの端にリチャードの死を望んでいる心を察したエクストン
の手により、リチャードは暗殺されてしまう。その報告をエクストン自身より受けた
新王は彼に語る。「毒を必要とするものも毒を愛しはせぬ、私もまたおまえを愛しは
せぬ。たしかに私は彼の死を望んだ、だが殺したものは憎む、愛するのは殺されたも
ののほうだ。」

そして、ボリングブルックはリチャード二世の死をもたらした自分の罪を償うために
聖地遠征の十字軍に参加することを公言し、諸卿とともにリチャード二世の柩を涙で
送る。