アテネのタイモンの邸には引きも切らず、あまた人がやってくる。タイモンは気前よく、人情深く、困っている人あればすぐにそれに応じ助けとならんと、惜しみなく金品をさし出すからだ。多くの人たちがタイモンの財産が目当てで彼に近づいているようである…。皮肉屋の哲学者アペマンタスひとり、タイモンを嘲笑っている。財政が傾きだしてから執事のフレーヴィアスの忠告に耳をかそうともしなかったタイモンも、債権者たちの召使いたちが方々からやってきたことで財政難にやっと目を向けることになる。しかし、これは“名誉の窮乏”であり、また“友人たちこそ財産”…と友人たちに借金を願い出るために召使いたちを送る。しかし、これまでタイモンから与えられるばかりだったルーカラス、ルーシアス、センプローニアス、ヴェンティディアスらは…聞かなかったことにしてくれとばかり召使いをひどく扱って追い返したり、いま金欠であるだとか、はたまた、友人たちのなかで自分が最後に相談されたとは心外だ…などとそれぞれに都合のよい理由をつけて、タイモンを助けようともしない。タイモンは友人たちのその事実を知り、怒り狂うこととなる。タイモンはかつてのように大宴会を開く旨を伝えて再びかつての友人たちを邸に招き入れる。そしていざ宴がはじまると、あらんかぎりの暴言をたたきつけ、石と湯のごちそうで彼らを痛めつけ復讐する。
タイモンの友人で軍人のアルシバイアディーズは、アテネに功労あった友人が犯してしまった殺人の罪を、正当防衛であるとし、かつての彼の軍功に免じて許して欲しいと元老院議員たちに訴えでる。しかし聞き入れられるどころか、アルシバイアディーズはアテネ追放を言い渡される。そしてアテネに復讐を誓い、去っていく。
一方、タイモンも絶望して人間を憎み、裸一貫アテネを去っていく。なにもかも捨てたタイモンは海の近くの森の洞窟にたった一人で住みつき、金や人間、すべてのものに憎悪を燃やし、呪いのことばを吐いて日々をおくる。草の根を食料にせんものと地を掘っていると埋蔵金が出土する。タイモンは徹底して金を憎み呪う。ちょうどそこにアテネに復讐の軍を向けたアルシバイアディーズと彼の二人の情婦がやってくる。はじめ彼にも女たちにも悪口雑言を並べ立てているだけだったタイモンは、アテネ全滅を狙う彼の行為にたいしては大いに励まし、見つけ出したばかりの金を与える。
その後、タイモンのもとにはあの皮肉屋のアペマンタスが現われ、お互いに暴言と嘲笑の烈しいことばのバトルを展開した後、タイモンに追いかえされる。直後、山賊たちがタイモンの金を狙ってやってくるが、タイモンのもっと罪を作れ!という荒れ果て病んだ心とことばに接しては、さすがの山賊たちも逆に悪心がなえてしまい、改心までしながら帰っていく。さらにタイモンに尽くしてきた執事フレーヴィアスもやってくる。フレーヴィアスの主人を思う心に触れてかすかに人間的なあたたかな感情がタイモンのなかに波打ったが、結果は変わらず、すべての金を与えて、帰れ!と突き放し、フレーヴィアスはタイモンのもとから去っていく。
その後も、金を持っていると聞きつけたものたち(かつてタイモンに恩恵を受けていた詩人と画家)、またアルシバイアディーズの反乱軍を退けるためにタイモンをアテネの将軍にとの願いを胸にアテネの元老院議員たちが次々にタイモンの洞窟を訪れる。しかし、暴言を浴びせられ、追い返されるのみ。
結局、アテネの城に戻った元老院議員たちは反乱軍に降伏し、アルバシバイディーズの勝利となる。そして、タイモンと自分に辛酸をなめさせた者たちのみを罰してアテネ全滅を回避すると誓う。直後、タイモンの死の報せとタイモンが自らの手で刻んだ墓碑銘の写しが届けられる。アルバシバイディーズはそのタイモンの心を読みあげ、タイモンのことをいづれ改めて語り合おうと大きな心を示し、幕となる。